ウォーターコラム

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プロフィール

中塚正博

中塚正博

株式会社日本食品開発研究所・代表取締役社長。
愛知医科大研究生として長年にわたり低酸素環境下における順応効果の研究に携わる。
1951年兵庫県生まれ

更新日:2008年02月06日
日本の食、本当のリスクとは

食に関するニュースで、最近話題になっている中国製食品への農薬混入騒動。
私は毒物に関しては門外漢ですが、和歌山の毒物カレー事件の毒物検査に使用したスプリングエイトという装置を使えば今回混入した農薬が日本製か中国製か、また中国製でもどこのメーカー製か等、判明するのでは、と考えます。
また、食品業界に携わる人間として私見ですが、今回の一件は事故と言うより誰かが故意に起こした事件のようにも思います。
いずれにしてもこのような事件は、食品だけでなく中国製品全体に対する不信感を募らせ、風評被害に発展する恐れもあります。


空のグラスイメージ 「日本の食、本当のリスクとは」
本当のリスクは、海外から食品を輸入しなければならない日本の食糧事情です。

以前、ヴァーチャルウォーターのことを書きましたが、具体的な数値をあげてみたいと思います。
例えば、食品素材1kgを作るのに必要な水の量は牛肉の場合、約15.9トン、豚肉5.9トン、鶏肉2.8トン、大豆2.3トン、小麦1.1トン、米2.7トンなどです。これらの数値は牛や豚が飲む水だけでなく、餌として食べる穀類を育てるのに必要な水も加えた数値です。
つまり今回問題となった商品に限らず、海外から輸入される食品には多くの見えない水が使用されているということになります。



「中国の水事情」
中国の一人当たりの水資源量は世界平均の三分の一程度で、水資源の乏しい北方地域では七分の一しかありません。
世界四大文明の一つとされる黄河文明。豊かな水が流れる大河のほとりに発達した文明といわれていますが、今、黄河流域では黄河の水が河口まで届かない年があり(「黄河断流」といいます)大きな問題となっています。上流で灌漑に使用、下流の水不足を地下水で補った結果、水資源の枯渇が現在、懸念されています。

対策として、揚子江から黄河まで運河を開発し、揚子江の水を黄河流域に流す「南水北調」といった計画もあるようです。この計画は日本や他国でしたら環境破壊が問題となり、実行するのは困難なことだと思います。
南水北調全体はまだ未貫通です。したがって五輪期間中に北京に供給されるのは、この「南水」ではなく、河北4カ所のダム3億立方メートルの「応急水」。これは北京の主要な水源となっているダムの1年間の給水量半分余りに相当するといわれています。汗が出ればその都度、シャワーを使う習慣の多い外国人が集まるオリンピックは周辺地域の水不足を助長することになります。

中国国内での深刻な水不足は当然、農産物や畜産物自体の生産にも影響を与えます。
ヴァーチャルウォーターのこと、他国にできるだけ頼らない食の確保など、企業は当然のこと個人レベルでも意識しなければいけない時代となってきました。

日本の省エネ技術は世界ナンバーワンといわれます。また、エネルギーだけでなく水の使い方も上手で、うまく再利用しています。エネルギーも水も限られた資源だと考えると、食に対して目の前の単価は高いけれど、国産が良いのか、輸入に頼り続けるのか・・・。
私はオーガニックでなくても、多少の農薬は使ってでも、また、少々高くても国内で作った農産物や食品のほうがいいと思うのですが、みなさんはどのように考えますか?


なお、今回の水に関する数値や資料は以下の書籍から引用しました。ヴァーチャルウォーターや水問題に興味ある方は、参考にしてみてください。
「水戦争 水資源争奪の最終戦争が始まった」 著者:柴田明夫  角川SSコミュニケーションズ

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